結論BtoB購買において、AIはすでに「補助的な存在」ではなく、主要な情報収集手段の一つになっている。調査概要調査主体:株式会社エヌケーエナジーシステム調査テーマ:BtoB購買プロセスにおける情報収集・意思決定の実態調査対象:法人向けサービスの導入・見直し経験者有効回答数:180名調査期間:2026年1月※本記事は、上記調査結果のうち「AI活用」に関するデータを解説するものである。BtoB購買におけるAI利用率は38.3%本調査で「法人向けサービスの検討時、情報収集にAI(ChatGPT等)を利用したことがあるか」と尋ねたところ、38.3%が「利用したことがある」 と回答した。これは、BtoB購買の約4割でAIが実際に使われていることを意味する。重要なのは、この数字が一部のITリテラシーが高い層実験的な利用に限定されたものではなく、実際の意思決定プロセスの中で使われている 点である。AIは「検索の代替」ではなく「整理装置」として使われているAIの利用実態を詳しく見ると、単なるWeb検索の代替ではないことが分かる。AIは主に、情報の要点整理違いの比較自社条件に合うかどうかの確認専門用語や仕組みの理解といった「考えるための下処理」 に使われている。これは従来、比較記事を何本も読む複数サイトを行き来する社内で人に聞くといった形で行われていた工程であり、AIがその役割を一気に肩代わりしていることを示している。なぜ買い手はAIを使うのか?調査結果と自由記述を踏まえると、BtoB購買においてAIが使われる理由は明確である。主な理由情報量が多すぎる比較軸が分かりにくい自社に合うかどうか判断しづらい営業に聞く前に整理したいつまり、情報不足ではなく「情報過多」への対応策としてAIが使われている。この点は、「AIが人間の代わりに判断している」というイメージとは異なる。実態は、判断の前段階を効率化する存在としての活用である。Webサイト・営業との関係性はどう変わったか?AIの台頭によって、Webサイトが不要になった営業が不要になったというわけではない。むしろ構造は次のように変化している。Web・資料・記事から情報を集めるAIで要点・違い・論点を整理する社内で検討・すり合わせを行う必要なタイミングで営業と話すAIはWebと営業の「間」に入り込んでいる存在だと言える。営業活動への示唆(事実ベース)このデータが示しているのは、営業の前にAIが使われている初回商談時点で顧客理解は進んでいる説明中心の営業は価値を出しにくいという現実である。一方で、判断の妥当性確認社内説明の補強迷いどころの整理といった領域では、人による支援が引き続き求められている。AI利用率38.3%という数字は、営業が不要になったことではなく、営業が登場する前提条件が変わったことを示している。まとめBtoB購買の約4割でAIが情報収集に利用されているAIは判断を代替する存在ではない情報整理・比較のためのツールとして使われている営業は「説明前提」から「整理前提」へ変化しているこの構造を理解せずに営業やマーケティングを設計すると、顧客とのズレは今後さらに大きくなるだろう。関連記事「なぜ説明型営業は価値を失ったのか?」「なぜBtoB営業は『知らないうちに失注』するのか?」「BtoB購買の判断材料は何が使われているのか?」