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2026.05

窓口担当者が稟議資料を自作する実態|57%が発生させる「営業コンテンツ翻訳コスト」 

    この記事のポイント

    • 意思決定者に届ける情報伝達の方法として、57.1%が「自分でまとめた資料を作成して共有」を選択

    • 営業が丁寧に作った提案書は、半数以上の案件で「そのままでは使えない」と判断されている

    • 93%が初回商談後のコンテンツ不足を実感。求められるのは「意思決定者向け平易な資料」「稟議書テンプレート」

    「あれだけ丁寧に提案書を作ったのに、なぜ担当者には刺さっているのに上に通らないのか」

    BtoB営業でこの経験を持つ方は少なくないでしょう。調査の結果が示したのは、その「なぜ」の答えです。営業が作り込んだ提案書は、意思決定者のもとに届くまでの間に、窓口担当者によって「翻訳・再編集」されているのです。

    株式会社エヌケーエナジーシステム(コレタ for Sales)が2026年5月に実施した「営業商談後の社内の意思決定実態調査」(n=100)では、この「翻訳コスト」の実態が明確なデータとして浮かび上がりました。本記事では、なぜこの問題が起きるのか、そしてベンダーが提供すべき稟議支援コンテンツの具体像を解説します。


    「提案書をそのまま転送できない」──意思決定者への情報伝達の現実

    57.1%が「自分でまとめた資料」を作成して共有している

    本調査では、営業担当者と直接話していない意思決定者(上司・役員・他部門担当者等)への情報伝達方法を複数回答で聞きました(N=77 ※意思決定者全員と直接話せなかったケース)。

    情報伝達方法

    割合

    商談内容を自分なりにまとめた資料(メモ・要約・スライド等)を作成して共有した

    57.1%

    営業担当者から受け取った資料・提案書をそのまま転送・共有した

    35.1%

    ベンダーの公式サイトのURLを共有した

    19.5%

    商談内容を自分が口頭で説明・報告した

    16.9%

    関与者それぞれに自分で情報収集してもらった

    13.0%

    ベンダーから提供された比較資料・事例集等を共有した

    10.4%

    ベンダーと関与者が直接話せる場(追加商談・デモ等)を設けた

    6.5%

    最多は「自分なりにまとめた資料を作成して共有した」(57.1%)。「そのまま転送・共有」(35.1%)を大きく上回ります。

    つまり、営業が丁寧に作り込んだ提案資料は、半数以上の案件では「そのままでは意思決定者には使えない」と判断されていることになります。

    なぜ提案書を「そのまま使えない」のか

    窓口担当者が提案書を作り直す理由は、主に以下の3点です。

    ①専門用語・前提知識の壁 営業が書く提案書は「商談で話した内容を補完する資料」として設計されることが多く、商談に参加していない意思決定者には文脈が伝わりません。また、製品の技術的な説明や業界特有の用語が含まれていると、ITリテラシーの低い役員には理解されないリスクがあります。

    ②情報量・粒度の不一致 決裁者が求める情報は「この製品で自社の何が解決するか」「いくらかかるか」「リスクは何か」のエッセンスです。詳細な機能説明や導入手順が記載された提案書は、決裁者にとって「読む気が起きない」資料になりがちです。

    ③社内フォーマットへの変換 多くの企業では稟議書・社内申請書に所定のフォーマットがあります。ベンダーの提案書をそのまま添付するのではなく、自社フォーマットに情報を落とし込む作業が必要です。


    「翻訳コスト」が生む2つのリスク

    リスク①:メッセージが変形・脱落する

    窓口担当者が自分の言葉で資料を作り直す過程で、営業が意図したメッセージが変形・脱落する可能性があります。

    たとえば:

    • 「競合他社との比較で明確に優位な点」が省略される

    • 「導入後の具体的なROI計算」が根拠なく書き換えられる

    • 「他社事例での成功パターン」が汎用的な表現に薄められる

    窓口担当者は悪意なくこれを行っていますが、結果として意思決定者に届くのは「営業が設計したメッセージ」ではなく「担当者が理解した内容のサマリー」になります。

    リスク②:窓口担当者の負担が稟議プロセスを遅らせる

    資料の作成は、窓口担当者にとって本来業務外のタスクです。商談後にベンダーの提案書を読み込み、上司向けにわかりやすくまとめ、稟議書を作成する作業には、場合によって数時間から数日を要します。

    この負担が大きいと、担当者の稟議着手が遅れます。「あのサービスどうなった?」と上司に聞かれるまで、担当者が社内の意思決定プロセスを先に進められないという状況が生まれます。


    93%が「コンテンツが不足していた」と感じている

    なぜ93%が不足を実感するのか

    「初回商談後にあれば社内検討が進みやすかった情報や対応はありますか?」という問いに対し(N=100)、「特になかった(十分だった)」と回答したのはわずか7%。93%が何らかのコンテンツ不足を感じていました

    順位

    求められたコンテンツ・対応

    割合

    1位

    社内の意思決定者向けに専門用語を使わず分かりやすく説明した資料

    35%

    2位

    稟議書・社内申請に使える資料テンプレートや記入例

    31%

    3位

    競合他社との機能・価格・実績などの比較表

    25%

    4位

    社内の関係者に共有しやすい1枚資料(エグゼクティブサマリー等)

    24%

    5位

    自社の課題・状況に合わせたカスタマイズされた個別提案・回答

    20%

    6位

    費用対効果(ROI)や投資回収期間の試算資料

    16%

    上位を占めるのはすべて「意思決定者に情報を届けるためのコンテンツ」です。買い手は「自分の上司や役員に説明するための武器」を求めています。

    上位4項目に共通するテーマ

    1位から4位に共通するのは「窓口担当者が翻訳コストをかけずに意思決定者へ届けられる資料」という性質です。

    • 1位(意思決定者向け平易な資料):作り直さなくてもそのままシェアできる

    • 2位(稟議書テンプレート):0から稟議書を作る手間をゼロにできる

    • 3位(競合比較表):「なぜこのベンダーか」の説明を担当者が用意しなくて済む

    • 4位(エグゼクティブサマリー):1枚でエッセンスが伝わるので転送するだけで済む

    これらが共通して求められているという事実は、多くのベンダーがこれらを提供できていないことの裏返しでもあります。


    ベンダーが提供すべき「稟議支援コンテンツ」の具体像

    コンテンツ①:意思決定者向け1枚サマリー(エグゼクティブサマリー)

    A4またはスライド1枚に収まる、経営者・決裁者向けの平易なサマリーです。含むべき要素は以下の4点です:

    1. 課題の認識:「御社が直面している○○という問題」

    2. 解決策の概要:「この製品/サービスが解決する方法」(専門用語なし)

    3. 期待できる効果:「導入した場合に期待できるビジネスインパクト」(数値化)

    4. 次のステップ:「何をすれば前に進むか」(承認フローの明示)

    このサマリーがあれば、窓口担当者は「これを上司にメールで送るだけ」で役割を果たせます。

    コンテンツ②:稟議書テンプレート・記入例

    稟議書のフォーマットは企業によって異なりますが、記載すべき情報の種類は概ね共通しています。「費用・契約条件・導入目的・期待効果・比較検討の経緯」などの項目を埋めやすい形で提供することで、窓口担当者の稟議作成コストを大幅に削減できます。

    記入例があれば「こんな感じで書けばいい」という手がかりになり、稟議書作成の着手ハードルが下がります。

    コンテンツ③:競合比較表

    「なぜ競合他社ではなくこのベンダーを選ぶのか」は、意思決定者が必ず問う点です。窓口担当者がこの質問に答えられるように、自社の強みを客観的に示した比較表を提供することが有効です。

    ポイントは「自社に有利な比較軸を設定する」ことではなく、「意思決定者が自社の状況と照らし合わせて判断しやすい軸」で整理することです。

    コンテンツ④:ROI計算ツールまたは試算例

    「この投資は元が取れるのか」は、CFO・経理担当者が必ず確認する点です。業種・規模別の試算例や、「○○の削減効果:月間△時間×□円=年間●万円」という計算式を用意することで、窓口担当者がROIを自社に置き換えて説明しやすくなります。


    コンテンツ提供のタイミングと方法

    初回商談後24〜48時間以内が鍵

    本調査では「社内共有用サマリー資料(1〜2枚)を送ってくれる」というベンダー対応が70%の肯定率で評価のトップでした。

    タイミングとして重要なのは初回商談後24〜48時間以内です。商談直後は「この話を社内で共有しよう」という気持ちが最も高まっているため、そのタイミングで使いやすい資料が届くと、社内展開のアクションに直結します。

    「送りつける」のではなく「いつでも参照できる場所」に置く

    メールで資料を送付するだけでは、受信トレイに埋もれてしまう可能性があります。本調査では83%が「専用確認ページ(DSR)があれば社内検討で活用したい」と回答しており、「いつでも戻れる場所」へのニーズが高いことが示されています。

    提案資料・稟議書テンプレート・比較表・ROI計算ツール・FAQを一か所にまとめたDSRページを用意し、「いつでも関係者全員が確認できる場所」として窓口担当者に提供することで、コンテンツが稟議プロセスの中で実際に使われる確率が上がります。

    → 詳しくは「初回商談後に送るべき7つの対応|83%の買い手が求めるDSR活用戦略」をご参照ください。

    このような稟議支援コンテンツの提供と一元管理を支援するプラットフォームとして、デジタルセールスルーム「コレタ for Sales」があります。提案資料・動画・稟議サポート資料をひとつのオンラインページにまとめ、閲覧状況をリアルタイムで把握できます。

    コレタ for Sales 詳細はこちら


    まとめ

    • 意思決定者への情報伝達で57.1%が「自分でまとめた資料を作成」。「そのまま転送」(35.1%)を大きく上回る

    • 提案書が「そのままでは使えない」主な理由は、専門用語の壁・情報量の不一致・社内フォーマットへの変換の必要性

    • 翻訳コストが発生することで、メッセージが変形・脱落し、稟議プロセスが遅延するリスクがある

    • 93%が初回商談後のコンテンツ不足を実感。求められるのは「意思決定者向け平易な資料」「稟議書テンプレート」

    • 初回商談後24〜48時間以内に「翻訳コストなし」で使えるコンテンツを届けることが、稟議プロセスの加速に直結する

    調査レポート完全版のダウンロードはこちら


    よくある質問(FAQ)

    Q1. 「稟議書テンプレート」はどのような内容を含めるべきですか? A. 一般的な稟議書に必要な項目は「申請目的・導入背景」「提案内容・費用・契約条件」「比較検討した代替案」「期待する効果・KPI」「リスクと対応策」「スケジュール」です。これらを記入しやすい形で提供することで、窓口担当者の稟議作成コストを大幅に削減できます。貴社サービスに特化した記入例があると、より効果的です。

    Q2. 「意思決定者向けの平易な資料」を作るコツはありますか? A. 3つのポイントがあります。①専門用語を使わず「課題→解決策→効果」の順で書く、②A4またはスライド1枚に収める(読む気が起きる量)、③数値・事例で効果を具体化する(「コスト30%削減」など)。「商談に参加していない役員が5分で判断できるか」を基準に設計すると効果的です。

    Q3. 提案書の「翻訳コスト」を完全になくすことは可能ですか? A. 完全になくすことは難しいですが、大幅に削減することは可能です。窓口担当者が「そのまま送れる資料」「そのまま使える稟議書テンプレート」を用意することで、翻訳コストを最小化できます。また、意思決定者が直接アクセスできるDSRページを提供することで、窓口担当者を経由しない情報共有ルートを確保できます。

    Q4. 競合比較表を提供することで、競合他社に情報が漏れるリスクはありますか? A. 競合比較表は「買い手の意思決定を支援する資料」であり、競合他社に渡ることはほとんどありません。また、比較表の内容は基本的にWebサイト等で公開されている情報の範囲内に留めることで、企業秘密の開示リスクを避けられます。むしろ、比較表がない場合、買い手が自分で競合調査を行い、より不利な比較がなされるリスクがあります。

    Q5. ROI計算の試算をどの程度細かく提供すればよいですか? A. 詳細すぎる試算は「数字を作ったもの」と見なされる可能性があります。推奨するのは「業種・規模別の代表的なケースで、保守的な試算を示す」アプローチです。「月間○時間削減×平均時給□円×○名=年間●万円の削減効果」のような計算式を示し、買い手が自社数値で入れ替えやすいフォーマットにすることが効果的です。


    調査実施:株式会社エヌケーエナジーシステム(2026年5月)/有効回答数:100名

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