この記事のポイント・BtoB購買担当者の67.2%が営業電話に「出なかった・折り返さなかった」経験を持つ──電話営業の不通は構造的な課題である・電話に出なくても63.7%が自律的に検討を継続。比較サイト・AI・Webを使った「見えないナーチャリング」が常態化している・78.0%が「デジタル資料があれば電話なしで検討できる」と回答。営業接点の主役は電話からデジタルコンテンツへ移行している調査の背景と目的BtoB営業において、電話は長らく「最も確実な接触手段」として位置づけられてきた。しかし、購買者の情報収集行動がデジタルシフトする中で、その前提は崩れ始めている。コレタ for Sales を提供する株式会社エヌケーエナジーシステムは、BtoB法人取引における購買担当者や決裁者250名を対象に「電話営業の実態と買い手が求めるデジタル接点に関する調査」を実施した(出典:コレタ調査「電話営業の実態と買い手が求めるデジタル接点に関する調査」)。本記事では、全6つのFINDING(示唆)を解説し、営業組織が取るべきアクションを提示する。調査概要項目内容調査対象BtoB法人取引において購買・発注に関わった経験のある会社員有効回答数250名(スクリーニング調査2,000名より抽出)調査方法インターネット調査(スクリーニング後、本調査実施)調査実施時期2026年3月9日〜3月12日調査主体株式会社エヌケーエナジーシステム本調査の全設問・クロス集計を含む完全版レポートは、こちらからダウンロードできる。FINDING 1|営業電話に「出ない」は日常化している「BtoB商材の検討・購買に関わる中で、営業担当者からの電話に出なかった、または折り返さなかった経験がありますか」という設問に対し、約3人に2人(67.2%)が「ある」と回答した(出典:コレタ調査)。内訳は「よくある(月複数回)」が23.6%、「たまにある(月1回程度)」が43.6%である。月に複数回不応答を経験する購買担当者が4人に1人という事実は、電話を前提とした営業設計が構造的に接触機会を逃していることを示している。電話がつながらないという現象は「まれなケース」ではなく、現代のBtoBセールスにおける常態である。この数字が意味するのは、営業担当者の努力不足ではなく、購買者側の行動様式が根本的に変化したということだ。回答者の属性を見ると、従業員100〜499名の企業が34.8%、1,000名以上が21.6%を占め、中堅〜大手企業の購買担当者が中心となっている。業種もサービス業(22.8%)、製造業(21.2%)、商社・卸売・小売業(20.8%)と幅広く、特定の業界に偏った結果ではない。営業電話に「出ない」という行動は、業種・規模を問わず広がっている構造的な変化である。FINDING 2|「知らない番号には出ない」が最多理由──着信拒否は習慣化電話に出なかった・折り返さなかった理由(N=168、複数回答)を確認すると、最も多いのは「知らない番号には基本的に出ない」(44.1%)であった(出典:コレタ調査)。順位理由割合1位知らない番号には基本的に出ない44.1%2位折り返すのが面倒だった38.1%3位業務中で手が離せなかった32.7%4位内容が想像できて興味がなかった25.6%5位メール・チャットで済ませたい19.1%6位その場の状況で出づらかった14.3%スマートフォンが主流となった現在、購買担当者は着信番号で瞬時に取捨選択している。「折り返すのが面倒だった」(38.1%)という回答も高く、一度見送った電話を改めて折り返す心理的コストが、初期接触の壁になっている。「メール・チャットで済ませたい」(19.1%)という回答は、コミュニケーション手段そのものへの選好が変化していることを裏付ける。この傾向の詳細は「営業電話に出ない理由と対策」で深掘りしている。FINDING 3|電話をとらなくても、検討は止まらない──「見えないナーチャリング」の実態電話に出なかった・折り返さなかった後の行動(N=168)を確認すると、最も多いのは「折り返さず、自分で情報収集を続けた」(38.7%)であった(出典:コレタ調査)。「折り返さずにメール・資料を確認した」(25.0%)と合わせると、63.7%が電話なしで自律的に検討を継続している。電話がつながらなかったことで「検討が止まった」のはわずか8.9%にすぎない。つまり、売り手側が「電話に出てもらえなかった」と感じている間にも、買い手は水面下で意思決定を進めているのである。電話後に自分で使った情報源(N=168、複数回答)は以下の通りである。情報源割合送られてきたメールや資料を確認50.6%比較サイト・レビューサイトで調査43.5%ベンダーのWebサイトを閲覧35.7%AI(ChatGPT等)で情報収集19.0%社内のメンバーに相談・共有11.9%特に何もしなかった7.7%この行動はベンダー側には一切見えない。営業からすれば「まだ接点が取れていない」状態であっても、買い手はすでに競合比較や社内共有を進めている可能性がある。これがいわば「見えないナーチャリング」である。この概念については「見えないナーチャリングとは」で詳しく解説している。FINDING 4|買い手が望む接点は「自分のペース」──メール・デジタル資料が上位電話以外で営業と接点を持ちたい方法(N=250、複数回答)を確認すると、上位4項目はいずれも非同期・デジタルの手段であった(出典:コレタ調査)。順位接点方法割合1位メール41.6%2位自分のペースで見れるオンライン資料・動画38.0%3位チャット・ビジネスメッセージ(Slack等)36.4%4位Webフォームからの問い合わせ36.0%5位日程調整した上でのオンライン商談18.8%6位対面での打ち合わせ16.8%さらに、営業担当者との理想の関わり方(N=250)では、「情報は自分のペースで確認したい」が46.8%でトップ。「必要な時にこちらから連絡したい」(29.6%)と合わせると、76.4%が買い手主導・プル型の関わりを希望している。「こまめな説明・電話が欲しい」は6.0%にとどまり、プッシュ型の電話営業を歓迎する層は明確に少数派である。買い手が求めるデジタル接点の設計方法については「BtoB営業のデジタル接点設計」で解説している。FINDING 5|78%が「デジタル資料があれば電話なしで検討できる」「詳細な資料やデモ動画が提供されれば、担当営業と電話しなくても検討を進められると思いますか」という設問に対し、78.0%が「そう思う」「ややそう思う」と回答した(出典:コレタ調査)。内訳は「そう思う」が28.8%、「ややそう思う」が49.2%である。約8割の購買担当者が、充実したデジタルコンテンツがあれば電話なしでも検討を前進させられると考えている。これは、営業電話の代替手段としてのデジタル資料・コンテンツが、買い手から明確に受け入れられていることを示す。FINDING 6|検討を止めた最大の原因は「情報の整理・比較の難しさ」法人購買の検討が止まった・遅れた理由(N=250、複数回答)を確認すると、最大の原因は「比較・判断が難しかった」(43.2%)であった(出典:コレタ調査)。順位検討停滞の理由割合1位比較・判断が難しかった43.2%2位情報が整理できなかった35.6%3位社内調整が進まなかった27.6%4位忙しく後回しになった20.8%5位営業とのやり取りが負担だった19.2%—検討は滞りなく進んだ7.3%上位2つ──「比較・判断が難しかった」と「情報が整理できなかった」──はいずれも情報設計の問題である。買い手が自律的に検討を進める時代において、「分かりやすく整理された情報」を提供できるかどうかが、検討離脱を防ぐ鍵となる。「営業とのやり取りが負担だった」(19.2%)という回答も5人に1人にのぼり、過剰なプッシュ型アプローチ自体が検討の障壁になっているケースも無視できない。検討停滞の原因と対策については「BtoB購買の検討が止まる原因と対策」で詳しく解説している。総括──「電話営業」から「デジタルナーチャリング」へのシフト本調査から浮かび上がった3つの構造的変化を整理する。構造1:電話はつながらない。 購買担当者の67.2%が不応答経験を持ち、44.1%は「知らない番号には出ない」という行動習慣を持つ。電話を前提とした営業設計は、接触機会の大半を取りこぼしている。構造2:買い手は「見えない場所」で検討している。 電話後に折り返さなかった約4割が自分で情報収集を継続。比較サイト・AI・Webを活用しながら意思決定を進めており、売り手には一切見えない「見えないナーチャリング」が常態化している。構造3:デジタルコンテンツが検討の主役になっている。 78.0%が「デジタル資料があれば電話なしで検討できる」と回答。買い手はもはや、情報を受け取る方法として電話を必要としていない。まとめ ── 営業組織が今すぐ確認すべきチェックリスト営業チームの電話接触率を計測し、不応答率の実態を把握しているか電話がつながらなかったリードに対する代替アプローチ(メール・資料送付・DSR)が設計されているか買い手が自律的に検討を進められるデジタルコンテンツ(提案資料・動画・比較表)が整備されているか顧客の資料閲覧行動を追跡し、「見えないナーチャリング」を可視化する仕組みがあるか営業接点をプッシュ型(電話・訪問)からプル型(DSR・コンテンツ)へ段階的に移行しているか本調査の全設問・クロス集計データを含む完全版レポートは、以下からダウンロードできる。調査レポート完全版をダウンロードする買い手の「見えない検討」を可視化し、最適なタイミングでアプローチするための仕組みとして、AI搭載型デジタルセールスルーム「コレタ for Sales」の活用も検討してほしい。提案資料・動画・FAQを一つのページに集約し、顧客の閲覧ログをリアルタイムで追跡できる。