この記事のポイント・BtoB購買担当者の67.2%が営業電話に「出ない・折り返さない」経験を持ち、最多理由は「知らない番号には出ない」(44.1%)・着信拒否は怠慢ではなくスマートフォン時代の合理的行動。理由を構造的に理解し対策を打つことが重要・電話の代替となるデジタル接点を整備すれば、接触機会の喪失を防ぎながら買い手の信頼を獲得できるなぜ買い手は営業電話に出ないのか?「電話をかけてもつながらない」──BtoB営業の現場でこの悩みを持たない営業パーソンはいないだろう。しかし、この問題を「運が悪い」「タイミングが合わなかった」で片付けてはならない。コレタ for Sales が実施した250名規模の独自調査「電話営業の実態と買い手が求めるデジタル接点に関する調査」(2026年3月実施)によれば、BtoB購買担当者の約3人に2人(67.2%)が営業電話に「出なかった・折り返さなかった」経験を持つ(出典:コレタ調査「電話営業の実態と買い手が求めるデジタル接点に関する調査」)。しかもその内訳は「よくある(月複数回)」が23.6%、「たまにある(月1回程度)」が43.6%と、月に1回以上の不応答経験者が全体の67.2%を占める。本記事では、この調査結果を基に「なぜ買い手は電話に出ないのか」の理由を構造的に分析し、営業組織が取るべき具体的な対策を提示する。調査の全体像については「BtoB営業電話の実態調査|250名の本音」を参照してほしい。電話に出ない6つの理由──データが示す構造電話に出なかった・折り返さなかった理由(N=168、複数回答)を分類すると、大きく3つのカテゴリーに整理できる(出典:コレタ調査)。行動習慣としての着信拒否最多理由は「知らない番号には基本的に出ない」(44.1%)である。スマートフォンが業務の主要端末となった現在、着信番号を確認し、登録済みの連絡先でなければ応答しないという行動が、もはやデフォルトになっている。これは個人の怠慢ではなく、迷惑電話・詐欺電話が増加する中で身につけた合理的な防衛行動である。営業電話はこの「未登録番号フィルター」に自動的に引っかかるため、どれだけ良い提案であっても、そもそも届かないという構造が生まれている。心理的コストの壁「折り返すのが面倒だった」(38.1%)は2番目に多い理由である。一度見送った電話を改めてかけ直す行為には、想像以上の心理的コストが伴う。「何の用件だったか分からない」「折り返しても長話になるかもしれない」「メールで済む内容かもしれない」──こうした不確実性が、折り返しのハードルを上げている。「業務中で手が離せなかった」(32.7%)も同じカテゴリーに属する。BtoBの購買担当者は購買業務だけを担当しているわけではない。日々の業務の合間に検討を進めているため、「いつでも電話に出られる」という前提自体が非現実的である。コミュニケーション手段の選好変化「内容が想像できて興味がなかった」(25.6%)と「メール・チャットで済ませたい」(19.1%)は、より本質的な変化を示している。前者は、営業電話の内容が画一的であることへの不信。後者は、電話というコミュニケーション手段そのものに対する忌避感である。カテゴリー理由割合営業側の対策行動習慣知らない番号には出ない44.1%電話以前に認知を獲得する(メール・コンテンツ先行)心理的コスト折り返すのが面倒38.1%用件を事前にメール/SMSで伝える心理的コスト業務中で手が離せない32.7%非同期チャネル(DSR・メール)を主軸にする内容不信内容が想像できて興味なし25.6%パーソナライズされた価値提案を用意する手段の忌避メール・チャットで済ませたい19.1%デジタル接点を優先設計する状況依存その場で出づらかった14.3%複数チャネルでの接触設計業種・規模を問わない構造的変化本調査の回答者は、サービス業(22.8%)、製造業(21.2%)、商社・卸売・小売業(20.8%)、情報通信業(15.2%)と幅広い業種をカバーしている。従業員規模も50名未満から1,000名以上まで分布しており、電話不応答は特定の業界や企業規模に限った現象ではない。検討する商材の年間契約金額も50万円未満(14.4%)から1,000万円以上(17.6%)まで広範囲に及ぶ。高額商材であっても電話がつながらないリスクは同様に存在する。「金額が大きいから電話で丁寧にフォローすれば大丈夫」という前提はもはや通用しない。「着信拒否」は合理的な防衛行動である重要なのは、電話に出ない買い手を「失礼」や「怠慢」と捉えないことである。迷惑電話・詐欺電話が急増する中、未登録番号に応答しないのは合理的な防衛行動である。営業電話はこの「未登録番号フィルター」にかかるため、どれだけ良い提案であっても、そもそも聞いてもらえない構造になっている。この構造を嘆くのではなく、「電話に出てもらえない前提」で営業プロセスを再設計することが、2026年の営業組織に求められている姿勢である。「出ない」のに検討は止まらないという逆説ここで注目すべき事実がある。電話に出なかった購買担当者の63.7%は、電話なしで自律的に検討を継続しているのである(出典:コレタ調査)。「折り返さず、自分で情報収集を続けた」が38.7%、「折り返さずにメール・資料を確認した」が25.0%であった。つまり、電話に出ないことは「検討への関心がない」ことを意味しない。買い手は電話を避けているのであって、検討を放棄しているわけではない。この認識のズレが、営業組織に多大な機会損失をもたらしている。「見えないナーチャリング」と呼ばれるこの現象の詳細については、「見えないナーチャリングとは」で解説している。営業組織が今すぐ取るべき5つの対策対策1:電話の前にデジタル認知を獲得する知らない番号には出ないのであれば、電話の前に自社の存在を認知してもらうプロセスを設計する。具体的には、メールでの資料送付、ターゲット広告によるブランド認知、ウェビナーへの招待など、「名前を知っている状態」を作ってから電話をかける。展示会やカンファレンスで名刺交換した直後であっても、翌日にいきなり電話するのではなく、まずお礼メールと資料を送付し、開封を確認してから電話するだけで接触率は大きく変わる。対策2:用件を先にテキストで伝える電話をかける場合でも、事前にメールやSMSで用件を伝えておくことで、折り返しの心理的コストを下げられる。「○○の件でお電話しました。ご都合の良い時間にお電話いただけますか」という一文があるだけで、折り返し率は大幅に改善する。対策3:非同期チャネルを主軸にする購買担当者の76.4%が買い手主導・プル型の関わりを希望している(出典:コレタ調査)。メール(41.6%)、オンライン資料・動画(38.0%)、チャット(36.4%)など、買い手が自分のペースで確認できるチャネルを営業プロセスの主軸に据える。ここで重要なのは、非同期チャネルを「電話の劣化版」と捉えないことである。非同期チャネルには「買い手が自分の都合で確認できる」「内容を社内で共有しやすい」「記録が残る」という電話にはない明確なメリットがある。むしろ、複数の意思決定者が関与するBtoB購買においては、非同期チャネルの方が組織的な検討を促進する効果がある。対策4:デジタルセールスルーム(DSR)で情報を集約する提案資料・動画・FAQ・導入事例をDSR上に集約すれば、買い手は電話なしでも検討を前進させられる。実際に78.0%が「デジタル資料があれば電話なしで検討できる」と回答している(出典:コレタ調査)。対策5:閲覧行動を追跡し、最適なタイミングでアプローチするDSRの最大の利点は、買い手がいつ・どの資料を・どれだけ閲覧したかを追跡できる点である。電話がつながらなくても、「料金ページを3回閲覧した」「導入事例を社内に転送した」といった行動データから、買い手の関心度を判断できる。「電話に出ない」を悲観的に捉える営業組織は多いが、データを見れば明らかな通り、電話に出ないことと検討への関心は別物である。買い手は「電話で営業と話すこと」を避けているのであって、「良い製品を見つけること」は引き続き求めている。この認識の転換が、すべての対策の出発点となる。電話に出ない理由を「営業の設計ミス」として捉え直すここまでの分析をまとめると、電話に出ない理由は買い手側の怠慢でも偶然でもなく、3つの構造的な力が働いている。第一に、スマートフォン時代の「未登録番号フィルター」という行動習慣。第二に、折り返しや応答にかかる心理的コスト。第三に、メールやチャットといった非同期手段への選好変化である。これら3つの力はいずれも不可逆的なトレンドであり、営業側の努力で覆すことはできない。「電話を何回かければつながるか」を議論するのではなく、「電話がつながらない前提で、どのように買い手と接点を持つか」を設計することが、営業マネジメントの新しいアジェンダとなる。まとめ ── 「電話に出ない」を前提にした営業設計へ自社の営業チームにおける電話不応答率を定量的に把握しているか電話をかける前に、メール・コンテンツで認知を獲得するプロセスがあるか電話がつながらなかった場合の代替フォローフロー(メール→資料→DSR)が設計されているか買い手が自分のペースで確認できるデジタルコンテンツ(資料・動画・比較表)を整備しているか顧客の閲覧行動データに基づいてフォローのタイミングを判断しているか本調査の全データは、完全版レポートからダウンロードできる。「電話に出ない」を嘆くのではなく、それを前提として営業プロセスを再設計する。電話に依存しない営業モデルへの転換は、一朝一夕では実現しないが、まずはデジタルコンテンツの整備と閲覧データの追跡環境を構築することから始められる。その第一歩として、AI搭載型デジタルセールスルーム「コレタ for Sales」が有効な選択肢となるはずである。