14

2026.07

営業のヒアリングとは?コツ・聞くべき項目・質問例文とヒアリングシートの作り方【テンプレート付き】

    営業のヒアリングとは、顧客の現状・課題・意思決定プロセスを引き出し、顧客自身が「自社に合うかどうか」を判断できる状態をつくる対話のことです。多くの営業はヒアリングを「提案に必要な情報を集める作業」だと考えていますが、それは半分しか正しくありません。コレタの独自調査(n=180)では、買い手が営業に求める価値の1位は「自社に合う/合わないの整理」(50.0%)で、購買判断で最も参考にした情報源として「営業担当者の説明」を挙げた買い手はわずか11.1%(9項目中最下位)でした。つまり、ヒアリングは情報を奪う場ではなく、顧客の頭の中を一緒に整理する場です。この記事では、営業ヒアリングの基本の流れ・コツ・聞くべき項目・質問例文・ヒアリングシートの作り方までを網羅的に解説します。

    この記事で分かることは次の3点です。

    • 営業ヒアリングの基本の流れ・コツと、聞くべき5つの項目(質問例文つき)

    • そのまま使えるヒアリングシートのテンプレートと、SPIN・BANT・MEDDICなどのフレームワーク

    • ヒアリングを個人技で終わらせず「組織の型」にする方法

    営業スキル全体の中でのヒアリングの位置づけは営業フレームワーク・話法12選、そもそも説明中心の営業が通用しなくなった背景は説明型営業が通用しなくなった理由で解説しています。


    1. 営業のヒアリングとは?目的は「情報収集」ではない

    買い手は、もう説明を求めていない

    多くの営業研修は、ヒアリングを「提案に必要な情報を集める作業」と教えます。しかし、いまの買い手の行動を見ると、この前提が崩れていることがわかります。

    コレタの独自調査(BtoB購買の実態調査2026)では、次の結果が出ています。

    • 購買判断で最も参考にした情報源として、「営業担当者の説明」を挙げた買い手はわずか11.1%(9項目中最下位)

    • 一方、営業に求める価値の1位は 「自社に合う/合わないの整理」(50.0%)

    • 63.3% が初回商談で「すでに知っている内容が多い」と感じている

    買い手は比較サイトやAIで下調べを終えた状態で商談に来ます。その相手に情報を一方的に集めて説明を返しても、価値は生まれません。求められているのは、バラバラな課題や条件を、一緒に整理してあげることです。

    だからヒアリングは「整理のための対話」

    この事実から導かれる結論はシンプルです。営業のヒアリングは、情報を「収集」する尋問ではなく、顧客が自分の課題と優先順位を言語化し、整理できるようにする対話であるべきです。

    良いヒアリングを受けた顧客は、「話しているうちに、自社の課題が整理できた」と感じます。この体験そのものが、他社との差別化になります。以降で解説する流れ・コツ・項目は、すべて「整理を助ける」という目的に紐づいています。


    2. 営業ヒアリングの基本の流れ【5ステップ】

    営業ヒアリングは、思いついた順に質問するのではなく、相手が話しやすい順序で進めます。基本は次の5ステップです。

    • STEP1:アイスブレイク(関係構築)——本題の前に、相手が話しやすい雰囲気をつくります。いきなり質問攻めにすると、相手は身構えます。

    • STEP2:現状の確認——事実ベースの状況(体制・使っているツール・業務量など)を、答えやすい質問から確認します。

    • STEP3:課題の深掘り——現状の中で困っていること、その原因を掘り下げます。ここが対話の中心です。

    • STEP4:影響・意思決定プロセスの確認——課題を放置した場合の影響、そして「誰が・どう決めるか」を確認します。多くの営業が抜かす最重要ステップです。

    • STEP5:要約と次のアクションの合意——聞いた内容を要約して認識をすり合わせ、次の一歩を握ります。

    重要なのは、STEP2→3→4と、事実から課題、そして意思決定へと段階的に深めていくことです。順序を守るだけで、ヒアリングは自然で対話的になります。ヒアリングを含む商談全体の流れはBtoB営業の4フェーズで整理しています。


    3. 営業のヒアリングで聞くべき5つの項目【質問例つき】

    ヒアリングで聞くべき項目は、次の5つに集約されます。各項目に、そのまま使える質問例を添えます。

    ① 現状(事実)

    まず、事実としての現状を把握します。ここは答えやすいので、対話の入り口に向いています。

    • 質問例:「現在、その業務はどのような体制・ツールで進めていらっしゃいますか」「月にどのくらいの件数を扱われていますか」

    ② 課題(不満・困りごと)

    現状の中で、困っていることや理想とのギャップを引き出します。

    • 質問例:「その進め方で、いま一番手間だと感じるのはどこですか」「理想の状態と比べて、足りていないのはどの部分でしょうか」

    ③ 影響(放置した場合のリスク)

    課題を放置するとどうなるか——ここを言語化できると、検討の優先度が上がります。SPIN話法でいう「示唆質問」にあたる部分です。

    • 質問例:「その課題が続くと、業績や現場にどんな影響が出そうですか」「解決が半年遅れると、どのくらいの損失になりそうでしょうか」

    ④ 意思決定プロセス(誰が・どう決めるか)

    最も抜けやすく、最も重要な項目です。BtoBの購買は複数人で決まります。コレタの調査でも、意思決定者全員に営業の声が届いていない案件は72.8%にのぼりました。

    • 質問例:「この件が前に進む場合、社内ではどなたが検討に関わりますか」「最終的には、どのような基準で決められる予定ですか」

    決裁構造の見極め方は決裁者とは?意思決定者との違い・見極め方で詳しく解説しています。

    ⑤ 予算・時期

    最後に、予算感と導入時期を確認します。関係ができる前に切り出すと警戒されるため、順序としては終盤です。

    • 質問例:「いつ頃までに解決したいイメージをお持ちですか」「今回、どのくらいの予算感で考えていらっしゃいますか」


    4. そのまま使えるヒアリングシート【テンプレート】

    上記5項目を1枚にまとめると、そのまま使えるヒアリングシートになります。自社の商材に合わせて質問を差し替えてください。

    項目

    確認すること

    質問例

    現状

    体制・ツール・業務量などの事実

    今はどう進めていますか

    課題

    困りごと・理想とのギャップ

    一番手間なのはどこですか

    影響

    放置した場合のリスク

    続くとどんな影響が出ますか

    意思決定プロセス

    検討に関わる人・決め方

    どなたが検討に関わりますか

    予算・時期

    予算感・導入希望時期

    いつ頃までに解決したいですか

    競合・比較状況

    他社検討の有無

    他に比較されている手段はありますか

    このヒアリングシートの真価は、終了後に1枚の議事録として顧客に共有することで発揮されます。「本日伺った内容はこの通りで合っていますか」と返すことで、認識のズレを防ぎ、同時に「きちんと整理してくれる営業」という信頼を得られます。ヒアリング項目・順序をチームで統一すると、担当者による質のバラつきも防げます。


    5. 営業ヒアリングのコツ

    同じ項目を聞いても、成果が出る営業と出ない営業がいます。差を生むコツは次の5つです。

    話す量は「聞く7:話す3」を守る

    最大のコツは、自分が話しすぎないことです。目安は「聞く7割・話す3割」。説明したくなる気持ちを抑え、相手に話してもらう時間を最大化します。沈黙を怖がって埋めにいくと、相手が考える時間を奪ってしまいます。

    言葉の「背景」まで探る

    「コストを下げたい」という言葉の裏には、必ず理由があります。「なぜ今それが優先なのですか」と一段掘ることで、表面的な要望ではなく本当の課題にたどり着けます。

    相手のペースに合わせる(ペーシング)

    話す速さやトーンを相手に合わせると、安心感が生まれ、本音を話してもらいやすくなります。

    尋問にしない——質問には意図を添える

    質問を並べるだけだと尋問になります。「提案の精度を上げたいので伺うのですが」と質問の意図を先に伝えると、相手は答える意味を理解して協力的になります。

    仮説を持って臨む

    事前に「おそらくこの課題では」という仮説を立てておくと、ヒアリングが確認と深掘りに集中でき、短時間で本質に迫れます。

    こうしたコツを個人の勘に頼らず、チーム全員が再現できるようにしたい場面で役立つのが、AI搭載のデジタルセールスルーム『コレタ for Sales』です。商談の録画・文字起こしから、トップ営業がどの順で何を聞いているかをデータで把握でき、良いヒアリングの型をチームに展開できます。→ コレタ for Sales の詳細はこちら


    6. 営業ヒアリングに役立つフレームワーク

    ヒアリングの精度は、型(フレームワーク)を使うと安定します。代表的な5つを、使いどころとともに整理します。

    フレームワーク

    内容

    使いどころ

    SPIN話法

    状況→問題→示唆→解決の4質問で課題を引き出す

    課題の深掘り・影響の言語化

    BANT

    予算・決裁権・必要性・時期の4条件を確認

    案件の見極め・初回の条件確認

    MEDDIC

    指標・決裁者・購買プロセス等の6要素

    大型・複雑な商談の管理

    3C分析

    市場・競合・自社の観点で状況を捉える

    事前準備・仮説立て

    4W2H

    いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように

    抜け漏れのない現状把握

    最も汎用的で効果が高いのはSPIN話法です。特に「示唆質問」(課題を放置した影響を問う質問)は、前述の項目③に直結します。詳しくはSPIN話法とは?4つの質問タイプと具体例で解説しています。

    案件の見極めに使う条件確認はBANTとは?4項目とヒアリング質問例、大型商談の管理はMEDDICとは?6要素の意味・質問例をあわせてご覧ください。フレームワークは覚えることが目的ではなく、聞き漏れを防ぐチェックリストとして使うのが実践的です。


    7. 営業ヒアリングの質問例文集【場面別】

    そのまま使える質問例を、場面別にまとめます。自社の商材に合わせて言い回しを調整してください。

    商談の冒頭(アイスブレイク〜現状確認)

    • 「本題の前に、御社の〇〇について少し伺ってもよろしいですか」

    • 「現在、その業務はどのような流れで進めていらっしゃいますか」

    課題を引き出す

    • 「その進め方で、いま一番お困りなのはどのあたりですか」

    • 「もし何でも変えられるとしたら、どこを改善したいですか」

    課題の影響を言語化する(示唆質問)

    • 「その状態が続くと、現場や数字にどんな影響が出そうですか」

    • 「解決が遅れることで、困る方は社内にいらっしゃいますか」

    意思決定プロセスを確認する

    • 「この件が前に進む場合、どなたが検討に関わりますか」

    • 「過去に似た導入をされたとき、社内ではどう決められましたか」

    予算・時期を確認する

    • 「いつ頃までに解決したいイメージをお持ちですか」

    • 「概算で構いませんが、どのくらいの予算感で考えていらっしゃいますか」

    ポイントは、いきなり核心を突かず、答えやすい質問から始めて徐々に深めることです。反論や「検討します」への切り返しをあわせて磨きたい場合は応酬話法とは?切り返しの型・例文も参考になります。


    8. 営業ヒアリングでよくある失敗5つ

    最後に、成果が出ないヒアリングに共通する失敗を5つ挙げます。裏返せば、これらを避けるだけで質は大きく上がります。

    • 失敗①:尋問になる——質問を並べるだけで、相手が答えさせられている感覚になる。→ 質問の意図を添える。

    • 失敗②:自分が話しすぎる——説明したくなり、相手の話す時間を奪う。→ 聞く7:話す3を守る。

    • 失敗③:課題を聞いて終わる——課題は聞けても、影響と優先度を確認しない。→ 「放置するとどうなるか」まで踏み込む。

    • 失敗④:意思決定プロセスを聞かない——担当者の熱量だけ見て、社内の決め方を確認しない。→ 「誰がどう決めるか」を必ず聞く。

    • 失敗⑤:聞いた内容が個人の中で終わる——せっかくの情報が担当者の頭の中だけに残る。→ シート化してチームで共有する。

    特に失敗④と⑤は、受注率と組織力に直結します。次の章で、⑤を解決する方法を解説します。


    9. ヒアリングを「組織の型」にする

    優れたヒアリングが特定の営業の頭の中だけにあると、その人が抜けた瞬間に組織の力は下がります。これは営業の属人化そのものです(営業の属人化とは?原因・リスク・解消する5つのステップ)。ヒアリングを個人技から組織の型に変えるには、次の3つが有効です。

    • ヒアリング項目・順序をシートで統一する——誰が担当しても、最低限の項目は必ず押さえられる状態にする。

    • ロープレで練習する——実際の商談を想定し、質問の順序と深掘りを繰り返し練習する。効果的なやり方は営業ロープレの効果的なやり方で解説しています。

    • 良いヒアリングを記録・共有する——反応が良かった質問を「勝ちパターン」としてチームに展開する。

    この「勝ちパターンの可視化」を支えるのが、AI搭載のデジタルセールスルーム『コレタ for Sales』です。商談の録音・文字起こし・AI要約により、記録の負担なく「トップ営業がどのフェーズで何を聞いているか」をデータで抽出でき、ヒアリングの型化を進められます。ヒアリングの型化は、営業ノウハウ全体のセールスイネーブルメントの型化の中核でもあります。→ コレタ for Sales の詳細はこちら


    まとめ

    • 営業のヒアリングとは、情報収集ではなく、顧客が自分の課題を整理できるようにする対話

    • 基本の流れは「アイスブレイク→現状→課題→影響・意思決定→要約・合意」の5ステップ

    • 聞くべき項目は、現状・課題・影響・意思決定プロセス・予算/時期の5つ

    • コツは「聞く7:話す3」「背景を探る」「尋問にしない」、フレームワークはSPIN・BANT・MEDDICが有効

    • ヒアリングをシート化・ロープレ・記録共有で「組織の型」にすると、属人化を脱せる

    営業のヒアリングは、鍛えるほど成果に直結する再現性の高いスキルです。まずは本記事のヒアリングシートを、自社の商材に合わせて1枚作るところから始めてみてください。→ コレタ for Sales の詳細はこちら

    デジタルセールスルームの活用法はデジタルセールスルーム(DSR)とは?主要ツール比較・選び方をご覧ください。


    よくある質問(FAQ)

    Q1. 営業のヒアリングでは何を聞けばいいですか? A. 「現状(事実)」「課題(困りごと)」「影響(放置した場合のリスク)」「意思決定プロセス(誰がどう決めるか)」「予算・時期」の5項目が基本です。特に意思決定プロセスは抜けやすく、最も重要です。BtoB購買の72.8%は意思決定者全員に営業の声が届いておらず、担当者の熱量だけでは受注に至らないためです。

    Q2. 営業ヒアリングの質問例文を教えてください。 A. 現状は「今はどのように進めていますか」、課題は「一番お困りなのはどこですか」、影響は「その状態が続くとどんな影響が出ますか」、意思決定は「どなたが検討に関わりますか」、予算・時期は「いつ頃までに解決したいですか」が基本形です。答えやすい質問から始め、徐々に深めるのがコツです。

    Q3. 営業ヒアリングのコツは何ですか? A. 最大のコツは「聞く7:話す3」で、自分が話しすぎないことです。加えて、言葉の背景を「なぜ」で一段掘る、相手のペースに合わせる、質問の意図を先に伝えて尋問にしない、事前に仮説を持って臨む、の5つが効果的です。ヒアリングは説明の場ではなく、顧客の課題を整理する対話だと捉えることが根本です。

    Q4. ヒアリングシートには何を入れればいいですか? A. 「現状」「課題」「影響」「意思決定プロセス」「予算・時期」「競合・比較状況」の6項目を軸にするのがおすすめです。シートは聞き漏れを防ぐだけでなく、終了後に議事録として顧客へ共有することで、認識のズレ防止と信頼獲得にもつながります。自社の商材に合わせて質問を差し替えてください。

    Q5. ヒアリングとSPIN話法・BANTはどう関係しますか? A. SPIN話法やBANTは、ヒアリングの精度を上げるフレームワーク(型)です。SPINは「状況→問題→示唆→解決」の順で課題を深掘りする話法で、特に示唆質問が「影響」の項目に対応します。BANTは予算・決裁権・必要性・時期を確認する型で、案件の見極めに使います。覚えるより、聞き漏れ防止のチェックリストとして使うのが実践的です。

    Q6. ヒアリングが尋問っぽくなってしまいます。どうすればいいですか? A. 質問の前に意図を添えることが有効です。「より合ったご提案をしたいので伺うのですが」と一言置くだけで、相手は答える意味を理解し、協力的になります。また、聞きっぱなしにせず「つまり〇〇ということですね」と要約を返すと、尋問ではなく対話になります。相手が話す時間を増やす意識も大切です。


    🌟 「刺さった質問」を組織の資産にしたい方へ

    コレタ for Salesは、商談の自動要約と資料の閲覧ログを紐づけ、どの問いかけが顧客を動かしたかをデータで可視化するデジタルセールスルームです。トップ営業のヒアリングを型にして、チーム全員で再現できます。

    最終更新: 2026年6月 | デジタルセールスナビ編集部

    記事をシェア

    コレタ for Salesのご利用をはじめてみませんか?

    コレタ for Sales

    を使ってみませんか?

    資料請求して相談しよう

    © NK Energy System Inc.