結論:多くのBtoB商談で、営業の話は意思決定者に直接届いていない。届いているのは“要約された断片”だけである。「話は伝えておきます」が、最大の落とし穴BtoB営業では、こんな場面が頻繁にあります。「社内で共有します」「上に上げておきます」「決裁者にも伝えています」営業としては「意思決定者にも話が届いているはず」と考えがちです。しかし、この前提こそが失注を生む最大の落とし穴 になっています。データで見る「意思決定者不在」の現実弊社(株式会社エヌケーエナジーシステム)が実施したBtoB購買に関する調査(n=180)では、次の結果が出ています。営業担当者が、意思決定に関わる全員と直接話せたケースは27.2%裏を返すと、約7割の案件では、営業は意思決定者全員と話せていないということです。つまり、多くの商談は担当者のみと会話しその担当者が自分なりに解釈した内容を社内で共有しているという構造で進んでいます。なぜ営業の話は途中で歪むのか?この「伝言ゲーム」構造では、営業の意図や価値は確実に劣化します。伝わらなくなる理由担当者は営業ではない比較検討の軸を理解していない自社事情で情報を取捨選択するネガティブ要素は省かれがち結果として、営業が伝えたかった文脈や強みは失われ、「価格」「機能」「ざっくりした印象」だけが残る状態になります。これでは、どれだけ良い提案をしても正しく評価されません。営業がキーマンに会えないのは、怠慢ではないここで重要なのは、これは営業個人の努力不足ではないという点です。近年のBtoB購買では、買い手は営業を最小限にしたい社内検討を優先したいできるだけ非同期で進めたいという意向が強くなっています。実際、同調査では92.2%が「買い手主導で、自分のペースで情報を確認したい」と回答しています。つまり、「決裁者に会わせてほしい」という従来の営業アプローチ自体が、購買行動とズレ始めている のです。「会えない」のではなく「届いていない」ここで視点を切り替える必要があります。問題は決裁者に会えないことではなく決裁者に情報が届いていないことです。会うこと自体が目的になってしまうと、電話を増やすアポ獲得に注力する押しが強くなるといった、買い手が嫌がる行動 に繋がります。本質的な課題は「情報共有の設計」にある今回の調査結果から見えてくるのは、意思決定は複数人で行われる営業は全員と直接話せないそれでも正確な判断は必要という現実です。つまり必要なのは、誰が見ても理解できる情報社内共有される前提の設計意図が歪まない伝え方「営業トーク」ではなく「意思決定用の情報設計」なのです。これからの営業に求められる前提会えないことを前提にする伝言されることを前提にする非同期で判断されることを前提にするこの前提に立たない限り、営業は今後も「話したのに伝わらない」「手応えがあったのに負ける」という状況から抜け出せません。次回予告では、なぜBtoB購買は途中で止まるのか?なぜ「検討中」のまま進まなくなるのか?次の記事では、「失注でも放置でもない“購買停滞”の正体」をデータで解説します。👉関連記事「なぜBtoB営業は『知らないうちに失注』するのか?」「営業は本当にもう不要なのか?」