結論:営業は不要になっていない。ただし「説明する営業」は、すでに役割を終えつつある。「営業はいらない時代」という言説が増えている近年、「もう営業はいらない」「買い手は自分で調べて決める」「営業は邪魔がられている」といった言説を目にする機会が増えました。確かに、BtoB購買の現場では営業が関与しないまま検討が進むケースが増えています。しかしそれをもって「営業は不要になった」と結論づけるのは、データを読み違えています。データで見る「営業不要論」の正体弊社(株式会社エヌケーエナジーシステム)が実施したBtoB購買に関する調査(n=180)では、次の結果が出ています。購買判断の材料として「営業の説明」を挙げた人は11.1%これは、Webサイトや社内議論、比較記事などと比べて最も低い割合でした。この数字だけを見ると、「やはり営業は不要なのでは?」と思うかもしれません。しかし、ここに大きな誤解があります。評価されていないのは「営業」ではなく「説明」重要なのは、評価されていないのは“営業という存在”ではないという点です。評価されていないのは、製品機能の説明価格表の読み上げ他社との表面的な比較一方的な提案トークつまり、買い手がすでに知っている情報を、改めて説明する行為です。実際、同調査では63.3%が「初回商談で、すでに知っている内容が多かった」と回答しています。営業が話す前に、買い手はすでに十分な情報を持っているのです。それでも、なぜ営業は必要とされているのか?では、買い手は営業に何を期待しているのでしょうか。同じ調査で「営業に求める価値」を尋ねたところ、次の結果が出ています。自社に合う/合わないの整理:50.0%比較検討の観点整理:38.9%製品説明:37.2%ここから分かるのは、営業の価値は「説明」ではなく「意思決定支援」に移行しているという事実です。営業不要論が生まれる構造的な理由営業が「不要」と言われてしまう背景には、次の構造があります。買い手は自分で調べられる情報は過剰に存在するしかし整理・判断は難しい営業は“説明”しか持ち込まない結果、価値を感じてもらえないこの状態で営業が接点を持てば、「営業はいなくてもいい」と感じられてしまうのは自然です。営業の価値が残る領域は、むしろ増えている一方で、営業にしか担えない領域も明確になっています。自社にとっての「合わない理由」を言語化する比較の軸そのものを整理する社内稟議・合意形成を前提に話す判断を後押しする材料を提供するこれらは、WebサイトやAIだけでは完結しません。意思決定の文脈を理解し、整理できる存在としての営業は、むしろ重要性を増しています。問われているのは「営業をやめるか」ではない今回の調査結果が示しているのは、営業が不要になったではなく従来型の営業が通用しなくなったという事実です。説明する営業プッシュする営業情報提供が中心の営業これらは確実に価値を失っています。一方で、意思決定を支援する営業比較を整理する営業見えない検討を前提に動く営業には、明確なニーズが存在します。次回予告では、なぜ営業の話は意思決定者に届かないのか?なぜキーマンに会えないまま失注するのか?次の記事では、「営業と意思決定者の断絶」 をデータで解説します。👉関連記事「なぜBtoB営業は『知らないうちに失注』するのか?」「営業の話は意思決定者に本当に届いているのか?」