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2026.05
BtoBで意思決定者全員に届いた営業はわずか1割|キーマン不到達の構造と対策

この記事のポイント
BtoB購買の87%が複数人で意思決定。4名以上が関与するケースは64%に達する
意思決定者全員と営業が直接話せた案件はわずか11.5%。4割の案件で過半数のキーマンが未到達
キーマンに届かない「間接伝達構造」が生まれる理由と、営業が取るべき具体的対策を解説
「決裁者とも話したし、担当者からも好感触だった。なのになぜ失注したのか」
BtoB営業における失注の原因として、この「なぜ」が分からないケースは珍しくありません。本調査の結果は、その「なぜ」の答えの一端を明確に示しています。営業が接触できていると思っている範囲の外側で、意思決定が行われているのです。
株式会社エヌケーエナジーシステム(コレタ for Sales)が2026年5月に実施した「営業商談後の社内の意思決定実態調査」(n=100)では、BtoB購買において意思決定者全員が営業と直接話せた案件はわずか11.5%であることが判明しました。本記事では、このキーマン不到達問題の構造と、営業が取るべき対策を解説します。
BtoB購買は「多人数決定」が常態化している
87%が複数人で意思決定している
まず、BtoB購買の意思決定がいかに多人数で行われているかを確認します。
本調査で「最終的な購買の意思決定に関与した社内の人数」を聞いたところ、「1名(自分のみ)」で決定したケースはわずか13%でした。
意思決定関与者数 | 割合 |
|---|---|
1名(自分のみ) | 13% |
2〜3名 | 23% |
4〜5名 | 32% |
6〜10名 | 15% |
11名以上 | 17% |
87%が複数人での意思決定であり、4名以上が関与するケースは64%に達します。6名以上の大規模な意思決定グループが関与するケースも32%(6〜10名15%+11名以上17%)あります。
なぜBtoBは複数人での意思決定になるのか
BtoB購買において意思決定者が多くなる理由には、組織構造上の必然性があります。
①予算承認の階層性:BtoB購買は一定額以上になると、担当者の決裁権を超えるため、上長・役員・CFO等の承認が必要になります。年間契約金額が100万円を超えると、多くの企業で複数の承認プロセスが発生します。
②部門横断性:業務システムや外部委託の導入は、情報システム部門・業務部門・法務・経理など複数部門に影響するため、関係者全員の合意が求められます。
③リスク分散:「自分一人で決めた」という責任集中を避けるため、組織として意思決定の責任を分散させる文化が定着しています。
「キーマン不到達」の実態──4割の案件で起きていること
全員と直接話せた営業はわずか11.5%
では、これだけ多くの人物が関与しながら、営業担当者はどれだけのキーマンと直接話せているのでしょうか。
「意思決定関与者のうち、ベンダーの営業担当者と直接対話した方は何名でしたか?」(N=87 ※2名以上が関与したケース)という問いに対する回答は以下の通りです。
回答 | 割合 |
|---|---|
ほとんど(半数以上)が直接話した | 48.3% |
一部(半数未満)だけ直接話した | 32.2% |
全員が直接話した | 11.5% |
誰も直接話していない | 5.7% |
自分(窓口担当者)だけが直接話した | 2.3% |
全員と直接話せた営業はわずか11.5%。「半数未満しか話せていない+窓口担当者のみ+誰も話していない」の合計は40.2%に達します。
4割の案件では、過半数以上の意思決定者が営業と一度も話していないまま、購買判断が下されているのです。
Vol.1調査(2026年1月、n=180)でも「意思決定者全員に営業の声が届いていない案件」は72.8%に達しており、このキーマン不到達問題は一時的な現象ではなく、BtoB営業の構造的課題です。
「全員話せた」はなぜそれほど少ないのか
「商談の場には意思決定者全員を呼べばいい」と考える営業担当者は多いですが、実際にはそれが難しい理由があります。
①役職が上になるほど商談に出席しにくい:最終決裁者(役員・CXO等)は多忙なため、窓口担当者との初回商談には参加しないことがほとんどです。「検討が進んだら役員も交えて」という流れが多く、その「検討が進む」プロセス自体が見えないところで行われています。
②他部門担当者は「必要なら呼ばれる」という立場:情報システム部門や法務、経理などの他部門担当者は、購買の主担当ではないため、最初の商談には参加しません。彼らへの情報共有は窓口担当者の仕事として認識されています。
③地理的・時間的制約:リモートワークの普及により、全員が同じ場にいる機会が減少しています。全員参加型の商談を設定すること自体が難しい状況です。
「間接伝達構造」が生む2つのリスク
意思決定者全員が営業と直接話せない場合、情報は必ず「窓口担当者経由」で伝わります。この間接伝達構造は、営業にとって2つの大きなリスクを生みます。
リスク①:メッセージの変形・脱落
本調査では、窓口担当者が取る最多の情報伝達方法は「商談内容を自分なりにまとめた資料を作成して共有した」(57.1%)でした。「そのまま転送」(35.1%)を大きく上回ります。
→ 詳しくは「窓口担当者が稟議資料を自作する実態|57%が発生させる翻訳コスト問題」をご参照ください。
窓口担当者が自分の言葉でまとめ直す過程で、営業が伝えたい「強み」「差別化ポイント」「ROI」が削ぎ落とされる可能性があります。意思決定者の手元に届くのは、営業が設計したメッセージではなく、窓口担当者のフィルターを通ったサマリーです。
リスク②:見えないところでの「却下」
意思決定者が営業と一度も話していない場合、彼らが感じた疑問・懸念・反対意見が営業に届きません。
「他部門からの反対があった」「CFOが費用対効果に納得しなかった」「技術的な懸念が解消されなかった」──こうした失注理由の多くは、営業が接触すらできていないキーマンから生まれています。
現実のBtoB購買では、最終決裁者や他部門担当者が静かに検討し、静かに却下する。そのプロセスの大半が、営業には見えない状態で進んでいます。
キーマン不到達問題への3つのアプローチ
アプローチ①:「窓口担当者が使いやすい資料」を設計する
意思決定者全員との直接接触が難しい以上、窓口担当者が「翻訳コストなし」でシェアできるコンテンツを提供することが最も現実的な打ち手です。
本調査では「初回商談後にあれば検討が進みやすかった情報」の1位は「意思決定者向けに専門用語を使わず分かりやすく説明した資料」(35%)でした。窓口担当者が自分で作らなくても済む資料があれば、営業のメッセージがそのまま意思決定者に届きます。
具体的には:
技術的な専門用語を排除した「経営者向け1枚サマリー」の用意
「このサービスを導入すると、御社の○○という課題がこう解決します」という課題別説明資料
他社の導入事例・ROI計算例をセットにした「決裁者説得キット」
アプローチ②:「追加説明会・デモ」を積極的に提案する
本調査では「社内の関係者・意思決定者を交えた追加説明会・デモを提案してくれる」が66%の肯定率で有効とされています。
商談後に「もし他の方々にもご説明する機会があれば、30分のオンラインデモをご用意できます」と提案することは、押し売りではなく、買い手の社内プロセスを支援する姿勢として受け取られます。
重要なのは「全員参加を求める」のではなく、「もし機会があれば」という選択肢として提示することです。
アプローチ③:専用確認ページ(DSR)で意思決定者に直接届ける
本調査では83%が「専用確認ページがあれば社内検討で活用したい」と回答しています。
デジタルセールスルーム(DSR)は、窓口担当者が「このURLを送るだけで、意思決定者全員が必要な情報にアクセスできる」環境を提供します。役員も他部門担当者も、自分のペースで資料・動画・FAQを確認できます。
さらに、閲覧ログが営業側にリアルタイムで届くため、「誰が・いつ・どの資料を・どれだけ見たか」が把握できます。「役員が5回資料を見返している」という情報は、商談が前進しているサインです。
→ 詳しくは「初回商談後に送るべき7つの対応|83%の買い手が求めるDSR活用戦略」をご参照ください。
「意思決定支援型営業」へのシフト
意思決定支援型営業とは、「製品を説明する」のではなく、「買い手の社内意思決定プロセスを支援する」ことを主軸に置いた営業スタイルです。
本調査の結果が示す通り、現代のBtoB購買における意思決定の場は、営業担当者が見えない社内会議室にあります。その会議室に「営業の代わりに入れる素材」を用意することが、意思決定支援型営業の本質です。
このような課題に取り組む営業組織に向けて、デジタルセールスルーム「コレタ for Sales」は、提案資料・動画・FAQ・導入事例をひとつのオンラインページに集約し、窓口担当者が意思決定者全員にシェアできる環境を提供します。閲覧ログから「どのキーマンが何に関心を持っているか」を可視化し、次の商談アクションの精度を上げることができます。
まとめ
BtoB購買の87%が複数人での意思決定。4名以上が関与するケースは64%
意思決定者全員と営業が直接話せた案件はわずか11.5%。40.2%の案件でキーマンが未到達
間接伝達構造により、営業のメッセージが「翻訳」されて変形・脱落するリスクがある
対策は「窓口担当者が翻訳コストなしでシェアできる資料」「追加説明会の提案」「DSRによる直接アクセス環境の提供」の3つ
「意思決定支援型営業」へのシフトが、キーマン不到達問題の根本的な解決策
よくある質問(FAQ)
Q1. BtoB購買に関与する意思決定者は平均何人ですか? A. 本調査(n=100)では87%が複数人での意思決定と回答しており、4名以上が関与するケースが64%を占めます。過去の複数調査でも、BtoB購買における平均的な意思決定グループは5〜7名とされており、本調査の結果と概ね一致しています。
Q2. 決裁者(役員・CXO等)に営業担当者が直接アプローチする方法はありますか? A. 最も効果的なのは「窓口担当者に、役員向けの説明資料を提供し、商談設定を依頼する」アプローチです。役員が「この説明を直接聞きたい」と思える資料(課題の深刻さと解決効果を経営目線で表現したもの)を用意することが前提です。また、「30分のオンラインデモを役員の方々にも」と窓口担当者を通じて提案することも有効です。
Q3. 意思決定者全員が参加する商談を設定するコツはありますか? A. 「全員参加の場を設けてください」と直接依頼するのは、窓口担当者にとって社内調整の負担が大きくなります。代わりに「もし○○部門の方もご参加いただける場があれば、その方向けの資料も追加でお送りします」というアプローチで、部分的な参加を促すことが現実的です。
Q4. 「誰も話していない(誰も直接話さなかった)」(5.7%)というケースはどういう状況ですか? A. 窓口担当者がすべての情報収集・評価を自分で行い、意思決定者へは報告のみというケースです。担当者の裁量が大きい小規模案件や、「担当者が事実上の決裁者」という状況でも起きます。このケースでは窓口担当者のみとの関係構築が最重要です。
Q5. キーマン不到達問題は、どの規模の企業で特に深刻ですか? A. 一般的に企業規模が大きくなるほど承認階層が増えるため、意思決定者の数が増える傾向があります。本調査では「1,000名以上」の企業が20%含まれており、大企業ほどキーマン不到達のリスクが高いと考えられます。ただし、中小企業でも「経営者が最終承認者」となることが多く、担当者だけとの商談では失注リスクがあります。
調査実施:株式会社エヌケーエナジーシステム(2026年5月)/有効回答数:100名

