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2026.08

マーケティングと営業の連携が進まない理由|「リードの質」論争をデータで終わらせる方法【2026年版】

    「リードの質が悪い」対「追客が甘い」——マーケティングと営業の連携が進まない企業では、この水掛け論が延々と繰り返されます。結論から言えば、この対立が終わらない原因は、どちらかの怠慢ではありません。マーケと営業が、そもそも別々のデータを見ているという構造にあります。マーケはリード獲得までのデータを、営業は商談以降のデータを見ており、その間——買い手が実際にどう検討したか——は誰も持っていません。この断絶を埋めない限り、MQL/SQLの定義合わせやSLAの締結だけでは連携は機能しません。

    この記事で分かることは次の3点です。

    • 「リードの質」論争が終わらない構造的な理由

    • 買い手はマーケと営業の境目を認識していない、という盲点(独自調査データ)

    • MQL/SQL定義・SLAだけでは解決しない理由と、断絶を埋める共通データの作り方

    コレタが実施した独自調査(Vol.1/n=180)では、63.3%の買い手が初回商談で「すでに知っている内容が多い」と感じたと回答しています。この一つの数字が、マーケと営業の連携問題の本質を突いています。順に解体していきます。


    1. 「リードの質」論争が終わらない構造

    多くの企業で、マーケと営業の対立は次の形を取ります。営業は「マーケが持ってくるリードは質が低く、商談にならない」と言い、マーケは「せっかく獲得したリードを営業が追い切っていない」と言う。どちらも自分の持ち場では正しいことを言っているのに、議論はまったく噛み合いません。

    両者は「別々のデータ」を見ている

    噛み合わない最大の理由は、両者が見ているデータが分断されていることです。マーケが持っているのは、リード獲得までのデータ——流入経路、資料ダウンロード、メール開封率などです。営業が持っているのは、商談以降のデータ——初回商談の感触、提案内容、受注/失注です。そしてその間にある「買い手が社内でどう検討したか」というデータを、誰も持っていません

    この状態で「リードの質」を議論しても、マーケは「獲得段階の質」を、営業は「商談段階の質」を語っているため、同じ言葉で違うものを指しています。データが分断されている限り、この論争は構造的に終わりません。どの指標を共通で追うべきかという観点は営業KPIの設計も参考になります。

    「質」の定義が主観に委ねられている

    さらに、「質が高いリード」の定義が、それぞれの主観に委ねられています。営業にとっての良いリードは「すぐ商談化して受注しそうなリード」であり、マーケにとっては「ターゲット像に合致し、一定の関心を示したリード」です。この定義のズレを放置したまま「もっと質の高いリードを」と要求し合っても、両者の距離は縮まりません。


    2. 買い手は、マーケと営業の「境目」を認識していない(独自データ)

    ここが本記事の核です。マーケと営業の連携問題を解く鍵は、買い手の視点に立つことにあります。

    63.3%が初回商談で「すでに知っている内容が多い」

    コレタの独自調査(Vol.1/n=180)によると、63.3%の買い手が初回商談で「すでに知っている内容が多い」と感じたと回答しています。これは何を意味するでしょうか。買い手は、営業に会う前にすでに大量の情報を自力で収集しており、初回商談の時点で相当な検討を終えているということです。買い手の情報収集の実態はBtoB購買の実態調査2026に詳しくまとめています。

    決定的なのは、買い手はその情報を「マーケが出したもの」か「営業が出したもの」かで区別していないという点です。買い手にとっては、Webサイトで読んだ記事も、資料ダウンロードで得たホワイトペーパーも、初回商談で聞いた説明も、すべて「その会社からの情報」として地続きです。売り手側だけが「ここまでがマーケ、ここからが営業」と線を引いていますが、買い手はその線を認識していません。初回商談時点で買い手がどこまで知っているかは初回商談時の認識水準で解説しています。

    「境目」で情報が途切れることが、質の劣化に見える

    買い手が地続きで検討しているのに、売り手側でマーケと営業の間で情報が引き継がれないと、何が起きるか。営業は、買い手がマーケ接点で何を読み、何に関心を持ったかを知らないまま初回商談に臨みます。その結果、買い手がすでに知っている一般論を最初から説明してしまい、63.3%の「すでに知っている内容が多い」を生みます。

    営業から見れば、これは「準備不足のリードが来た」ように見え、「リードの質が低い」という認識になります。しかし実際には、リードの質の問題ではなく、マーケが持っていた買い手の関心情報が営業に引き継がれなかったという連携の問題です。「リードの質」論争の多くは、この情報断絶を質の問題と誤認したものです。


    3. MQL/SQLの定義合わせ・SLAだけでは解決しない理由

    マーケと営業の連携というと、多くの組織はまずMQL/SQLの定義合わせとSLA(サービス品質合意)の締結に取り組みます。これらは必要な一歩ですが、それだけでは連携は完成しません。

    定義合わせは「入口」を揃えるだけ

    MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)の定義を揃えることは、「どの状態のリードを営業に渡すか」という受け渡しの基準を明確にします。これは重要ですが、揃えているのは受け渡しの一点だけです。買い手がその後社内でどう検討したか、営業接点で何が起きたかという、その先の連続的な情報は依然として分断されたままです。

    SLAは「約束」であって「共通の事実」ではない

    SLA——たとえば「マーケは月◯件のMQLを供給する」「営業は供給後24時間以内に対応する」といった取り決めは、両者の責任範囲を明確にします。しかしSLAは約束事であって、買い手が実際にどう動いたかという事実を共有するものではありません。約束を守っているのに成果が出ないとき、SLAは「どちらが約束を破ったか」の議論に戻ってしまい、結局は水掛け論に回帰します。

    本当に必要なのは「共通の事実」(CTA①)

    定義合わせとSLAが「ルール」を揃えるものだとすれば、連携に本当に必要なのはマーケと営業が同じ買い手について同じ事実を見られる状態です。買い手がどのコンテンツを読み、何に関心を持ち、商談後に社内で誰に共有したか——この一連の行動データを両者が共有できれば、「リードの質」の議論は「この買い手は今こういう状態にある」という事実の確認に変わります。

    この共通の事実を作る手段として、デジタルセールスルーム(DSR)『コレタ for Sales』があります。提案資料や関連コンテンツを一つの共有URLにまとめて買い手に渡すと、誰がいつどの情報を見たかが自動で記録されます。マーケ接点から商談後の社内検討まで、買い手の行動が一本の線として可視化されるため、マーケと営業が同じデータを見て会話できるようになります。DSRの全体像はデジタルセールスルーム(DSR)とはで解説しています。→ コレタ for Sales の詳細はこちら

    実務的なSLAの作り方

    そのうえで、SLAを「共通の事実」に紐づけて設計すると機能します。従来の「件数と対応時間」だけのSLAに加えて、「MQLとして渡すリードには、どのコンテンツをどれだけ閲覧したかの行動情報を添える」「営業は初回商談後にその買い手の反応をマーケにフィードバックする」といった、情報の受け渡しを含む取り決めにします。約束の対象を「件数」から「情報」に広げるのが、実務的なSLA設計のポイントです。


    4. 断絶を埋める共通データ=買い手の行動ログ

    マーケと営業をつなぐ共通言語は、意見でも約束でもなく、買い手の行動ログです。行動ログが共通基盤になると、連携の質が次のように変わります。

    論点

    従来(分断)

    行動ログ共有後

    リードの質の判断

    営業とマーケの主観で対立

    「決裁者クラスが資料を閲覧」等の事実で判断

    ホットリードの特定

    メール開封率など獲得側指標のみ

    商談後の社内転送・再閲覧まで追える

    フィードバック

    「質が低い」という抽象的な不満

    「この関心には反応が良い」という具体的示唆

    追客タイミング

    定期的な機械的フォロー

    買い手が動いた瞬間に合わせる

    このように、行動ログは「どちらが悪いか」の議論を「買い手が今どこにいるか」の議論に変えます。買い手が主体的に検討を進められるよう支援するバイヤーイネーブルメントの考え方はバイヤーイネーブルメントとは、重点アカウントに絞って連携するABMの手法はABM(アカウントベースドマーケティング)で解説しています。

    また、買い手がどの接点を望んでいるかを踏まえて設計することも重要です。コレタの調査では買い手が望む接点として非同期・デジタルのチャネルが上位に挙がっており、詳細は理想の営業接点(BtoB)BtoB営業電話の実態調査にまとめています。


    5. 連携を「組織の仕組み」にする

    行動ログという共通基盤ができたら、それを運用に落とし込みます。

    第一に、マーケと営業の合同レビューを、行動データを見ながら行うこと。月次で「どのコンテンツが商談化に効いたか」「商談後にどんな社内検討が起きたか」を両者で振り返ると、リードの質論争は自然に消えます。マーケは「営業で成果につながったコンテンツ」を作れるようになり、営業は「買い手がすでに読んだ内容」を踏まえた商談ができるようになります。

    第二に、ナーチャリング(見込み客育成)を両者で設計すること。63.3%が「すでに知っている」時代には、初回商談前の情報提供の質が受注を左右します。買い手の関心に合わせて情報を届け、検討を後押しするナーチャリングは、マーケと営業のどちらか一方の仕事ではなく、共通の行動データを起点に両者で回すべき営みです。

    第三に、連携を営業の型として組織に定着させること。マーケと営業の連携は、担当者個人の関係性に依存させると、異動や退職で簡単に崩れます。「マーケの関心情報を営業が受け取り、商談後にフィードバックする」という流れを、個人技ではなく組織の標準プロセスとして設計する必要があります。これはセールスイネーブルメント——営業活動を仕組みとして型化し、組織全体の成果を底上げする取り組み——の一環です。詳しくはセールスイネーブルメントとはで解説しています。

    第四に、この連携を受注率の向上に接続すること。マーケと営業の連携は、それ自体が目的ではなく、最終的に成約率を上げるための手段です。連携によって「買い手がすでに知っていること」を踏まえた商談ができれば、初回商談の質が上がり、受注率も改善します。受注率全体をどう引き上げるかはピラー記事BtoBの成約率(受注率)を上げる方法で体系的に扱っています。

    このような「マーケと営業が同じ買い手データを見て連携したい」という課題に向いているのが、デジタルセールスルーム『コレタ for Sales』です。買い手の行動が獲得から商談後まで一本の線で可視化されるため、部門をまたいで同じ事実を共有できます。「リードの質」論争を、事実ベースの建設的な対話に変えたい組織に適しています。→ コレタ for Sales の詳細はこちら


    まとめ

    • 「リードの質」論争が終わらないのは、マーケと営業が別々のデータを見ているという構造の問題

    • 買い手はマーケと営業の境目を認識しておらず、情報を地続きで検討している(初回商談で「すでに知っている内容が多い」63.3%)

    • 「リードの質が低い」の多くは、マーケの関心情報が営業に引き継がれない連携の失敗を、質の問題と誤認したもの

    • MQL/SQL定義合わせやSLAは「ルール」を揃えるだけ。必要なのは「共通の事実(買い手の行動ログ)」

    • 行動ログを共通基盤にすると、対立の議論が「買い手が今どこにいるか」の議論に変わる

    マーケと営業の連携は、仲を良くすることではなく、同じ買い手について同じ事実を見られる状態を作ることです。デジタルセールスルーム『コレタ for Sales』は、その共通の事実を提供するプラットフォームです。まずは直近の失注案件で「マーケ接点での関心が営業に引き継がれていたか」を確認するところから始めてみてください。→ コレタ for Sales の詳細はこちら


    よくある質問(FAQ)

    Q1. マーケティングと営業の連携とは何ですか? A. マーケティングと営業の連携とは、リード獲得から受注までの一連のプロセスを、両部門が共通の目標とデータのもとで一貫して進める状態を指します。単に定期的に会議をすることではなく、同じ買い手について同じ事実(行動データ)を見ながら、役割を分担して協働することが本質です。

    Q2. 「リードの質が低い」という営業の不満はどう解決すればいいですか? A. まず、その不満の多くが「質の問題」ではなく「情報引き継ぎの問題」であることを疑ってください。マーケが持っている買い手の関心情報(どのコンテンツを読んだか等)が営業に渡っていないと、営業は準備不足の商談になり、それを「質が低い」と感じます。行動データを両部門で共有すれば、多くの論争は解消します。

    Q3. MQLとSQLの違いは何ですか? A. MQL(Marketing Qualified Lead)はマーケティング活動で一定の関心を示し、営業に渡す基準を満たしたリード、SQL(Sales Qualified Lead)は営業が接触して商談化の見込みが高いと判断したリードです。両者の定義を揃えることは連携の第一歩ですが、受け渡しの一点を揃えるだけでは連携は完成しません。

    Q4. 営業とマーケのSLAはどう作ればいいですか? A. 従来の「件数」と「対応時間」の約束に加え、「情報の受け渡し」を含めるのがポイントです。MQLを渡す際に買い手の閲覧行動などの関心情報を添える、営業は商談後に買い手の反応をマーケにフィードバックする、といった取り決めにします。約束の対象を件数から情報へ広げることで、SLAが実際に機能します。

    Q5. なぜMQL/SQLの定義を揃えても連携が改善しないのですか? A. 定義合わせは「どの状態で受け渡すか」という一点を揃えるだけで、その前後の連続的な情報(買い手が社内でどう検討したか等)は依然として分断されたままだからです。買い手は検討を地続きで進めているため、受け渡しの一点だけを揃えても、断絶そのものは残ります。

    Q6. 連携がうまくいっているかは、どう測ればいいですか? A. 「リードの質」に関する両部門の対立が減っているか、そして商談化率・受注率が改善しているかで測ります。対立の議論が「どちらが悪いか」から「この買い手は今どういう状態か」という事実ベースの会話に変わっていれば、連携は機能し始めています。数値としては、MQLからの商談化率とその後の受注率を両部門共通のKPIとして追うのが有効です。

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